衝撃的な事実であった。このオッサ…お兄……男は、どこからどう見ても酒に酔いつぶれたオッサンにしか見えない。
｢マジすか？ ｣
レンは、まだ信じられない様子だ。
｢おう、マジよマジ｣
｢………そうですか、じゃあ俺はこれで｣
レンは色々突っ込もうと思ったが、関わらない方がいいと悟ったので、棒読みでそう言った。そして、気付いているかもしれないが、レンは敬語を使うのが下手である。
レンが店のドアの取っ手に手をかけた時、肩に生暖かいものが触れた。男の手が、レンの肩に乗っていたのである。
｢うわっ！止めろよオッサン！｣
｢あ〜？生意気なこと言うガキだな…親の顔が見てみたいもんだ！｣
｢…それは…無理だ…｣
｢あ？｣
｢…俺の両親は……死んだ…｣
そう、レンの両親は、レンが幼い時に亡くなった。正確に言えば、行方不明になっているのだが、もう１０年以上見つかっていないため、死んだと判断された。それから、レンは、祖母達(祖母と祖父)の手によってここまで育て来られたのだが、その祖母達も、一昨年に亡くなってしまった。
｢……あ〜〜〜何だ、あれだ…ご愁傷様つーか……なあ？…まぁ元気だせよ｣
｢…オッサン…｣
｢あ〜？……ってだから誰がオッサンだ！｣
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