Mind Adventure 28

籬 規那  2008-07-05投稿
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「なんかさ……薄気味悪いよねぇ?ここ………」

戦闘の時とはまた違った様子で周りに神経を遣いながら、妖需が言う。


きー――――っ!

甲高い小動物のような声が、見計らったみたいに辺りに響いた。



静寂の中にこだまし、陰欝な空気がより一層増す。

後ろで妖需が立ち止まる気配がした。この程度の事で怖がるタマでもないはずなのだが。


不思議に思って振り返ると、蒼白で奮えている妖需が目に映った。



「おい………?」

意識をはっきりさせようとして、肩を揺すってみたが、妖需は力無く座り込んだきり、まるで反応が無い。



「おい、妖需……」

ふいに、苦痛で淀んだ瞳が、ディルを捉えた。

何かを訴えるように、こちらを見上げ、口を開いたその刹那。


「ぁ………っ」

何かに反応するように、体を強張らせ、獣のような呻き声を上げる。


「あぁあ゙ぁ゙ぁ゙あっ…!」

額には油汗が浮かび、腕や体ははっきり分かる程に震えている。

その肩に触れようとした時、初めて。



体が少しも動かせない事に気付いた。












背後に、人が立つ気配がした。

視線が粘ついて、気持ちわるい。気分が悪いから?これはただの汗?



全てが、重苦しい。





ディルは、まだ後ろの人物に気付いていないようだ。

(早く…早く………)




知らせないと。


ぎしぎしと、音がしそうなほどに固まりきった体に鞭打って、口を開く。


だが、阻まれた。【音】によって。


白衣の――

あれは、ここの科学者だろう。
フィレーネも、きっとあれのせいで、身動きが取れないに違いない。


もう、手遅れかもしれない。

薄暗いのでよく見えないが、心なしかディルの目の焦点が合っていないような気さえする。



白衣のポケットに、手が滑り込み―――\r


「うああ゙ぁあぁぁ゙あ゙ぁ゙あ゙あ…………っ!!!」


頭が割れたかと思う程の頭痛と吐き気に襲われ、意識が遠退く。



視界が白く、寸断された。



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