「何だあれは!?」
「鳥か!?」
「ヤハウェの兵器じゃないのか!」
様々な言葉が飛び交う中ウラは人混みをかき分けやっとのことで戦闘機の見える位置まで這い出した。
「間違いない、これはアメリカ軍の戦闘機だ…何でこの世界に…」
同じような機体は何度か目にしている。F22ラプター。だがそれとは若干違う形状が見受けられた。
「お!開いたぞ!」
1人の男が叫んだ。
戦闘機のコックピットが開き中から白人系の男女が出てきた。
その後すぐに城の兵士達が集まりだし戦闘機から出てきた2人を囲み始めた。どうやらリアムの部隊らしい
「取り押さえろ!」
リアムが指示すると兵士達は一斉に2人を取り押さえ連行し始めた。
「待ってください!」
ウラは叫びそれを制止する。同じ世界の人間が犯罪者のように連行されるのを黙って見ていられなかった。
リアムはウラの声を聞き兵士達に2人を離すよう命じる。
「あんたアメリカ人だろ?」
ウラは戦闘機に乗っていた男に歩み寄った。
「…日本人か!?」
どうやら男もウラと同じくかなりの驚きようだった。リアムはその状況を読んだのか2人を連行せずに城へと案内した。
フリッツと名乗る男とベルと名乗る少女は街が敵に襲われ命からがらこの街まで逃げて来たということを話した。
そしてあの戦闘機はアメリカの最新鋭機F25ラプター?、どうやらフリッツはその戦闘機のテスト飛行中にこの世界に飛ばされたらしい。
「まさか自分の世界の人間に会えるとはな…しかも同業者とは」
「いや、軍人とはちょっと違うな。どっちかというと警察に近いかな」
久しぶりに同じ世界の人間と会うことができ話しが弾む。だが…フリッツ・ハールマン…どこか影のある男だ。ウラはそう思った。
ウラはアメリカの人間はオープンな性格だと勝手なイメージを持っていた。だがフリッツはクールというより心を開いていない闇を宿した男に見えた。