〜遅刻女王〜
入籍したものの、式はまだ挙げていなかった。
ツマは「めんどいし、別に挙げなくてもいいよ」と言っていたが、互いの両親の顔見せも兼ねて細々とやることになった。
…7月某日。
地方新聞で近所の式場の無料ブライダルフェア広告をみつけ、予約をした。
予約の日。
正午までに行かないといかんのに、ツマは10:45頃起きてきた。
ツマは寝起きがすこぶる悪く、遅刻の常習者なのだ。
…ツマの遅刻グセは今に始まったことではなく、中〜高校生の頃からヒドかったらしい。
最高記録は高1のときの120回。
これではイカンと努力し、2年で20回、3年で1回まで減らした。
3年の終盤、全校集会のとき全生徒の前で「カノジョはこんなに遅刻が減りました」と誉められたコトを、自慢げにボクに話してくれた。
…そりゃ大学の講義も行けなくてナットクだ。
自分の起床の遅さにぶちギレながら支度をするツマ。
…結局、15分ほど遅刻して会場に着いた。
おめでたムードのカップルの中、機嫌の悪いツマと二人で始まっている会場内に入る。
無料のコース料理を食べたり、会場の説明を受けているうちにツマの機嫌も落ち着いて、かかるお金のことなど結婚式とはどんなもんかということを初めて興味を持って聞いた。
ふと気付くと、ツマはウエディングドレスのカタログを真剣に見たり、チャペル式がどうだこうだと想像を膨らましていた。
あんなに「めんどい」と言ってたクセに(そして遅刻したクセに)…。
ツマの乙女心は複雑なのです。
つづく