「…いって〜!……あれ?…生きてる…生きてる!」
レンは生きていた。大きな木がクッションとなり、地面への激突の衝撃をやわらげたのだ。レンの、「うがががが」という奇妙な声は、レンが木の中を落下している時の声だ。
「……よし!なんかよく分かんないけど……雪山に行くか!」
レンは、雪山に向かうため、とりあえずノール村で支度をすることにした。
「……ていうか…ここどこぉ〜?」
ノール村と砂漠の中間地点。たまに、樹木が立っているが、そのほかは何もない原っぱである。そんな中、レンが巨大な木に落ちることができたのは、偶然か、それとも…。
見慣れない景色に囲まれたレンは、方位磁針を出した。ノール村からイーナ砂漠だとすれば、東の方角にあるので、西に向かえばノール村に着くと考えたのだ。しかし、方位磁針を見てみると…。
「なんだこりゃぁ!?」
なんと、方位磁針の針がグルグル回っている。
「近くに巨大な磁石でもあんのかよ!?」
レンは、方位磁針を縦にしてみた。すると、方位磁針の針が下を指した。何度やっても同じである。
「……下…?」
レンは、地面を思いっきり叩いてみた。すると、明らかに響いている。そう、中が空洞なのだ。
「……洞窟…かな?」