「………無理」
高所恐怖症のレンにとって、崖から飛び降りるのにはかなり勇気が必要だった。しかし、そんなこと考えてたって何も始まらないと、思い、飛び降りることを決意した。
「…パラシュートがあるんだし…大丈夫だ!」
自分の心にそう言い聞かせた。
「…行くぞ!…とう!」
レンは飛び降りると同時にパラシュートのスイッチを押した。すると、たちまちパラシュートが広がり、ゆっくりと地面に落下して行った。
「……ひ〜〜!」
レンにとっては、早く地面に着きたいものだが、パラシュートの落下速度が遅いため、つい、下を見てしまう。レンは、何とか下を見ないように、ぎゅっと目をつむった。
「………お!」
しばらくして、やっとレンは地面に着いた。
そして、一息ついてから崖の方へ振り返ってみた。
「……うわぁ〜」
崖の下から2mほどに穴が空いていて、洞窟になっている。人間が、楽に通れる大きさだ。しかし、壁中に鋭い石があり、方位磁針の針がそれに向いている。どうやら、磁石のようだ。レンは、こんな形の磁石を初めて見たため、見とれていた。
「……綺麗だなぁ〜」
そう言いながら、レンは、洞窟の中へと入って行った。この後、恐ろしいことが待っているとも知らずに…。