｢ガググガガ…グゴゴゴゴガ……グガガグガ！｣
『そこをどけ！…出来損ないのお前に……何が出来る！』
《獣》に向かって、黒竜が叫んだ。
｢おい……出来損ないって…どういうことだ？｣
『…セツメイハアトダ……イマハ…メノマエノテキニシュウチュウシロ』
《獣》は、黒竜を睨みつけた。
｢グガァァァァァァァァァァァァ!!｣
黒竜が、《獣》に向かって突進してきた。《獣》はこれを難なくかわす。何度も黒竜は突進して来るが、《獣》は全てかわした。それにより怒った黒竜は、目標をレンに変えた。口を大きく開け、そこに黒い物質が溜まっていく。どうやら、これをレンにぶつけるつもりらしい。この光景を見た《獣》は、黒竜とレンのちょうど境目に立った。その瞬間、黒竜の口から黒い球が発射された。《獣》はそれをよけずに、後ろにいるレンを守るため、自ら当たった。黒球が当たった瞬間、《獣》の動きが止まった。生きてはいるが、体が地面に吸い寄せられ、動けないようだ。その光景を見て唖然としているレンに、《獣》は言葉をつげた。口を動かす必要のない《獣》は、体が止まっていても、話せるのだ。
『…ハヤク…ニゲロ…ワタシノコトハイイ……オマエサエイキテイレバ…ヘイキダ…』
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