翌日。
学校で考えることは丸井周助とアカネの事だった。
昼休み。
友人からもボーっとしていると言われ続けた。
「そんな濃い週末って送れるもんなんだね〜。」
友人のサキが半信半疑で言う。
「子犬を拾っただけなんだけどなぁ。まさか火事の家の犬だったなんて。」
「丸井周助ねー。聞いたこと無いなぁ。でも年上だったら将来性あるよ〜。大学生かな?」
「分かんない。でももし学校通ってたら、もう学費も払えないかも…。」
周助の今を考えると胸が痛んだ。
帰ったら、唯一の手がかりである周助に繋がる電話番号にかけようと茜は決めた。
家に着くと、直ぐに茜は周助に電話した。
「もしもし?」
昨日よりもさらに疲れたように聞こえる周助の声が電話に出た。
「ああ、茜ちゃんか。」
呼び方が変わっているのが嬉しかったが、もう茜には関わり合えない雰囲気の声だ。
「大丈夫ですか?やっぱり周助さんが落ち着くまでアカネ預かりましょうか?」
「茜ちゃん。本当にもう良いから。俺にはもう店もペットたちも無くなった。喧嘩ばかりする両親も…。おとなしく田舎に移り住むよ。」
「本当にそれで良いんですか?私は、周助さんの力になりたいんです。」
周助は一呼吸置いた後、優しく茜に言った。
「ありがとう。俺だってキミの様な女性と一緒にやっていけたらって思う。」