言葉のリズムに圧倒されながらも聞き覚えのあるトーンのように思えたが言葉を覚えることが最優先と真司は思っていた。その清掃の女性はそそくさとその場を離れていった。
現在8時6分
写真を眺めた真司は特徴を探した。
「なんて鞄だ!」真司の目が止まった。
「何処に行ったら売ってるんだ!?」
それは黄色っぽい鰐皮みたいなざらざら感のあるB四もスッポリ入る位の大きな鞄だった。
黒かシルバーが一般的と思っていた真司は「風水でも信じてるかも」と思いながら安心感をも得られた。 朝の混雑の時間に乗り口の番号と初めて見る写真で捜せるか不安だったのだ。
九番の出入口から?番 の乗り口を探した。
8時13分
「すごい混雑だな!」
「あった!」
真司はとりあえずその場に向かった。
『間もなく二番線に電車が入ります。白線の内側でお待ち下さい!』
一つ前の地下鉄が入り、やがてその人込みを連れ去った。
一時静かな時間がやってきた。
真司は?番乗り口にたち九番の出入口に神経を集中する。
「来たか?違う鞄が違う!いや、今日に限って違う鞄だったらどうしよう!」