私が夏希くんに身体を預けようとした時、後部座席から香緒里と涼平さんの笑い声が聞こえた。
「新年早々、ご馳走さま」
「お前らのろけ過ぎやわ」
と言ってしばらく笑っていた。
「お前ら何時から聞いとったんや」
「寝たら殴られる…」
涼平さんが夏希くんの真似をした。
一瞬で夏希くんの顔が赤くなった。
それを見て私も大笑いした。
まだ十五分ぐらいあったが、人が増えてきたので車の外に出た。 「さむ〜い、涼平暖めてよ〜」
「しょうがねえなぁ」
そう言って涼平さんはロングコートのなかに香緒里をくるんだ。 「あったか〜い…」 香緒里は幸せそうな声を出していた。
「人の事言えないね」
「真愛にも同じ事してあげようか?」
「大丈夫…気持ちいいもん…手は冷たいけど…」
夏希くんは黙って私の手をとると、コートのポケットに入れた。 「暖かい…」
夏希くんの顔をみて微笑んだ。
東の遠くの街並みの向こうから初日の出が上がってきた。
神々しく光る太陽を見ていると、自然に手を合わせて拝んでいた。
(いつまでも夏希くんと、仲良くいられますように…)