―そうだ、そもそも根本からしておかしい。何故、こんなことになったのだ?
何故、両親はたった一日の内に亡くなってしまったのだ?…何故、自分だけ置いて行かれたのだ。
「…わけわかんねぇよ?」
苛立ちの籠った呟きを吐き出した途端、依代は足を滑らせた。眼下には、急な斜面が…。
「ぅわああああああ!!!!?」
依代は声の限りに叫んだ。ちょっとしたジェットコースター気分だが、どこの遊園地を探しても、顔や腕に痛みが走る様な乗り物は無いだろう。
依代はズザァアアアア!!と凄まじい音を立てながら斜面を下って行った。
やがて視界が急に開いて、眩しい日の光が依代の目を刺した。
と、共に依代の体は道に投げ出された。
「!!…んたく、本当についてないよなぁ」膝などをさすりながら、依代は立ち上がった。
辺りを見回すと、道の先にはどうやら川が流れているらしく、小さな橋が架っていた。
橋の向こうには、民家らしきものが見える。 すぐ側に立っていた標識には、『操り師村→』。
「……何だ、近道があるじゃん」
そう言って依代は橋を渡った。下には澄んだ水が絶え間なく流れており、時々小魚が飛び跳ねていった。
…忘れられた、日本の風景である。