アカネ以外のペット達は引き取り手無しと見なされ保健所へ連れて行かれた。
実際、周助には面倒を見切れなかった。
当の周助自身は、喉が少し火傷した程度で、奇跡的に無事だった。
明朝、直ぐにアカネを迎えに行ったが、ダンボールはもぬけの空だった。
ゲージだけがウチに残ってしまった。
電話番号を書いたメモを置きながら、周助は思った。
(いっそアカネはこのままどこかで無事に暮らしてくれれば…。)
しかしそんな保証はない。
せめて近所の人かどうか分かれば。
去り際、ダンボールを振り返ると、アカネを抱いた女の子が立っていた。
声をかけようとした途端に、女の子は走って行ってしまった。
「あの娘が…。」
―茜という名前の女性。
飼い主を探さなければという時に現れた。
アカネの命の恩人。
力になってくれると言ってくれた。
甘えて良いのだろうか?
一つの現実として、周助は料理が出来ず、ろくな飯を食べていなかった。
アカネの飼い主がいないまま、もうすぐ保健所の人が来る期日が迫っていた。