イヌ恋 ?

 2008-07-08投稿
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アカネが脚にじゃれついてきたので、茜は少し楽な気持ちになった。

「だいじょうぶ。お前はどこにも行かせないよ。」

茜が腰を下ろすと、膝上にアカネが乗ってきた。

「コラ、アカネ。……あ。そうか、茜ちゃんも同じ名前だった。」

「偶然ですよね。犬と同じ名前。」

二人はしばらく談笑した。

茜がずっとアカネを心配していたこと。
アカネも茜を夜な夜な探して、落ち着かなかったこと。
今日は茜は学校をサボったこと。

「お昼ご飯!作ってあげますね!そのためにホラ、材料まで買ってきましたから。」

周助はアカネと共に美味しそうなチャーハンが出来る過程を見つめた。

「すごい手際良い…。」

「ありがとうございます。お口に合いますかどうか…………ハイ、完成。」

アカネが物欲しそうにクゥンと鳴いた。

二人と一匹で食べる昼ご飯は格別だった。

幸せだと二人は思っていた。
おそらくアカネも。





「夕方頃に来るらしいから、もうすぐかな。」

「はい。」

「茜ちゃん、本当にありがとう。」

「いいえ、そんな。」

茜は窓から漏れる西日に目を落としていた。
―これで本当に周助と別れる。
アカネも無事に周助と暮らせる。
では自分は?―\r

「あ…」

「「あの」」

周助と声が被ってしまった。
お互い黙ってしまう。

「あ…周助さんお先に。」

「うん…。俺のためにわざわざここまでしてくれたから、いつかお礼するよ。って…無責任な約束を取り付けたかっただけだよ。そっちは?」

「本当に無責任。」

「ごめんなさい。」

日向ぼっこをしているのか、お腹を日差しに向けて、アカネは眠っていた。

「でも、周助さん。お礼なんか要らない。」

「そんな…いつか必ず」

「……………。
私は周助さんが欲しいの。」


凛とした瞳が周助を見つめていた。



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