ライルは四人のいさかいを見て、逆に落ち着きを取り戻すと、四人に向かって、尋ねた。
「そうですね…、生きていたとしたら、砦で治療を受けていると思います」
「ふむ…そうか」
その答えを聞いて、ライルはしばらく腕を組んで何事か思案していたが、やがて、
「おかしいな」
と、呟いた。
「何がおかしいんですか?」
セイルは不思議そうな顔を、ライルに向けた。
「いや…先に君たち一家だけが助かったという事が、ちょっと引っかかってな…」
「あ…!」
ミリスは何かに気付いたかのように、驚いて、ライルを見た。
「ミリスちゃんの言うには、犯人の放った光弾は一般人には重傷を負わせる位の力だったという。これが事実なら、他にも運ばれてきた町人がいなければおかしい。それがいなかった。まるでそれ以外の人間は治療するまでも無い、と言わんばかりに」
「!」
ライルの言葉を聞いて、三人は絶句した。
「いえ、何もおかしい事はありません」
一人、エミリアだけは冷静な表情で首を横に振りながら、
「調査大勢が整っていない中で、あの雨の中、騎士の皆さんはまだ気絶した状態だった私たちを見つけるのに精一杯だったのです」
と、静かに反論した。