「私、小さい時からお祖母ちゃん子でね、お祖母ちゃんも私を可愛いがってくれて、色々な事を教えてもらったわ…」
「真愛ってさぁ、ひょっとして良いとこのお嬢さんなん?」
「まさか…父は普通のサラリーマンよ…」 「良かった…」
胸を撫で下ろすような言い方で、夏希くんは溜息をついた。
「私ね、三歳の時から日舞を習ってたの…それでね、将来役に立つからって、お祖母ちゃんが着付を教えてくれたの…独りで着物を着れるようになったのが二年生の頃かな…」 「…」
「着物を着れるようになったら、急に大人になった気がして、お祖母ちゃんが趣味でしていた、お華の真似ごとをして花を活けたり、お茶の真似ごとをして茶筅で掻き回したり…お祖母ちゃんとっても喜んで、私に正しい作法を次々と教えてくれたの…」
「だからスーパー大和撫子なんや…」
「それは言い過ぎだけど…」
私は照れながら続けた。
「お母さんも働いてたから、三年生ぐらいでお祖母ちゃんと夕食の支度なんかしていて、お料理も教えてもらったの…それが今役に立ってるんだ…」