「由紀、道路に出ちゃダメだ!」
拓海の声が響いた。
「…ごめんなさい、パパ…」
由紀は大好きなパパに怒られて、シュンとした。
「まったく…ちょっと目を離すとこれだから…パパは由紀がいなくなったら、すごく悲しくてずっと泣いちゃうよ。」
そして、由紀を抱き上げほっぺに軽くキスをした。
「もう、相変わらず親ばかなんだから。あなたは。」
恵美はそんな光景を、隣で幸せそうに眺めていた。
「恵美…勿論お前の事だって、本当に大切に思ってるよ。俺が、ここにこうして存在してるのは、お前のおかげだと思っているから…」
いつになく真剣な顔だった。
「あら、私は看護師として当然の事をしただけよ。」と、イタズラっぽく微笑んだ。