「…この木、千年は生きていそうだな」 桜の木を見上げて、依代はぽつりと呟いた。 幹は太く、あちこちにウロがあいている。傷が多くてゴツゴツした木だったが、依代はこの木が気に入った。 しばらくそうしてぼうっとしていると、疲れたせいなのか、眠くなってきた。 「……どうせ誰もいないし、いいよな」 ぽつりと呟いた依代のまぶたが、そろそろと下がっていく。 いつしか依代は眠りについていた。 彼女の頭上で、桜の葉が揺れた。
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