小学校の帰り道
一人で帰った放課後
クラスのみんなは楽しく遊んでいた
元気な体があれば何だってできる気がした
みんなが回れない鉄棒ですらできる気がした
クラスでは鉄棒を回れるやつはヒーローだった
体育すら出ない病弱な僕にはできそうになかった
だから一人で帰っていたのだ
家に帰ればテレビのお笑い芸人に夢中だった
おもしろかったコントは次の日にみんなにやって見せた
だけど今時の小学生は笑い一つこぼしやしない
また一人で帰った放課後
クラスのみんなは笑いながら遊んでいた
母さんは、動き回らないと病気は治らないと言っていた
今はまた友達の輪から外れてみんなを見つめていた
それはやっぱり辛いのだ
何かに突き動かされた僕は駆け出していた
みんなの輪に混じって鉄棒を回った
うまくは回れなかったけど
滑稽な僕をみんなは笑ってくれた
もう一人で帰ることはなかった