夜…
良子は、フレンドリーの事務所に来ていた。
実は、会報を作製する編集スタッフが2人も休んでいる為、助っ人として来てもらったのだ。
作業が一段落し、ロビーの自販機コーナーで休憩していた良子は偶然にも、森山とバッタリ!
実は昼間、私・雅美が由美の事で森山に電話を入れていた。
「由美が浮気!?」
驚く森山。だけど…、
どうも信じる様子では無い。そこで私は…
「証拠品を持って来るから今夜、フレンドリーの事務所に顔出して」
と言っていたのだった。
久し振りの顔合わせで良子も森山も互いにピリピリした表情。
目も合わせようとはせず、一言も会話が無い。
私は少し離れた場所から2人の様子を見ていた。
喧嘩…、しないよね?
ハラハラ気分である。
しばらくして…、森山の方から切り出した。
「元気…そうだな?」
「うん…、まあね」
見たところ、良子は落ち着きがないような印象を受ける。
内心、ドキドキな気分なのかもしれない。
「あの時の事…、今でも怒ってるだろう?」
「全然…怒ってなんかいない」
「ホントの事を言ってもイイんだぜ。
今でも、ショックを受けている…とかさ」
「気になるの?」
「ああ、気になる」
「そう。でも、大丈夫よ。本当に何も気にしていないから」
「なら、安心したよ。
新しい…彼氏は出来たのかな?」
「まだ」
「早く、出来るとイイよね?」
「私は今、恋愛よりも先ず…自分自身を見つめ直す事を考えているから」
「見つめ直す?」
「今までずっと…、自己中心的でワガママだった…て、最近思うようになったの。
私のせいで、交際を全て駄目にしてしまったし。何も変わらない自分でいたら一生、イイ恋には巡り合えない。
だから…反省しなきゃあ…ってつくづく感じた」
「へぇ、そうか」
森山や私にとっては、初めて聞く良子の反省言葉である。
(良子、変わったな)
私はそう確信した。
森山もそう、思っているに違いない。
つづく