良子が立ち去った後、私は持参して来た封筒を拓也に差し出した。
拓也は缶コーヒー飲みながら、封筒を開けて中の写真を取り出した。
写真に目を通した拓也の表情が変わる。
「何だコレ? どれも、由美が違う男たちと写ってんじゃん」
「デートしている現場を、私がコッソリと撮ったんだよ」
「アイツ、色んな男と」
「付き合ってる」
「ウソだろう!?」
「だから本当だってば。由美の友達の…佳奈の証言もあるんだよ。
そうそう、良子がバイトしているレストランで、男連れで来たのを私も見たしね」
「どんなヤツだった?」
「ホラ、この男」
私は写真の中から1枚を指差した。
「誰、コイツ?」
「名前は嘉村秋人。
昴大学の学生」
「嘉村秋人? 会った事ねえ。コイツも由美の浮気相手の1人か」
「しかも、その男が一番、由美と親しいみたい。もしかしたら、森山以外のもう一人の恋人かも」
目を通した写真をテーブルに置く拓也。
「何かの間違いだろう。由美が浮気なんて、考えられねえよ」
「じゃあ…、写真に写っている男たちはいったい…何者?」
「街で由美をナンパした連中だろうきっと」
「にしては、数が多いよね? 由美って、そんなにモテるんだ」
「まあね。しかもアイツは純情だし、声をかけられたらホイホイ付いて行く女だからな」
「だったら余計、信じるべきじゃないの?」
「心配ねえよ。例え…アイツは浮気しても、俺を裏切るような事はしないから」
「それは、どうかな?」
「何だよ、違うって言うの?」
「女ってね…、気が変わるのが早いんだよ。
いつまでも未練残さず、思いなんかサッサと断ち切ってしまうからね。
森山がそうやって悠長な事を言っている間に由美はきっと…」
拓也は何を思ったのか、自分のケータイを手にすると、由美のケータイに電話をかけてみた。
すると…、
つづく