と、苦笑いしながら、ぽりぽりと頭を掻いた。
「それでしたら、私たちが夕食を作ります」
サリアはにっこりと微笑んで、台所に向かった。
「すみません、サリアさん。私も何か手伝える事があれば、何でもおっしゃって下さい」
ライルはすまなそうに頭を下げた。
「いいんですよ。お義兄さんはゆっくりしていて下さい」
サリアはそう言いながら、材料入れの扉を開けた。
「うわあ…すごい、漬物もしっかりと作ってあるし、お野菜も綺麗に一通り揃ってる。調味料も充実してるわ」
材料入れを見つめながら、サリアは驚きの声を上げた。
「…ロイのお陰です。あの子は妻が亡くなってから、忙しい私や息子二人に代わって、一人で家事をやってくれていました。今回、貴方達の所にロイを送った本当の理由は、息抜きをさせてやりたかったという思いからだったのです」
ライルはそう言うと、目に涙を浮かべながら、ぎゅっと、唇を噛んだ。
「兄さん…」
「お義兄さん…」
セイルとサリアはその様子を見て、沈痛な面持ちでうつ向いてしまった。
「セイル、サリアさん、そのような顔をしないで下さい。私はまだ、希望を捨ててはおりませんから」
ライルは涙を拭いながら、力強く、言った。