私達は、天保山の山頂を目指して登山していた。と言っても五メートル足らずの、日本一低い山だけど… 山は小高い丘状の公園になっていて、思ったより人がいる…
「私、山の頂上に立つの初めて…」
「後少し、自分の足で登りきるんやで」
夏希くんと笑いながら、最後の一歩を踏み出した。
「登頂おめでとう!」
私達は山頂に着くと、握手をして笑った。
ハーバービレッジに向かって歩いていたら、夏希くんの携帯電話が鳴った。
拓海さんからの通話着信だった。
「明けましておめでとう。久し振りやな、どうしてん…」
夏希くんはしばらく何やら話していたが、 私は夏希くんの腕に私の腕を絡めて、頭を凭れて行き交う人達を見ていた。
わたしの夏希くんに勝てる男性なんてどこにも…
なんて思いながら…
「真愛…」
不意に夏希くんが声を掛けて、私は現実に戻された。
「なぁに?」
「明日なんやけどな、拓海が涼平達や悟志夫妻を招いて、新年のパーティー開くから、真愛も連れて来てくれないか、って言うんやけど行くか?」
あと一日、夏希くんと二人きりで過ごしたいけど…