「夏希くん、何が食べたい…?」
帰りの車の中でリクエストを尋ねた。
「少し早いけど、何か食べに行こうか…」 「どうして…?」
「真愛も疲れただろう…」
「そんな事ないけど…夏希くん疲れちゃった…?」
「いいや、大丈夫だよ…」
「だったらあのバーに行かない?」
何故か急にあの店長の顔が見たくなっちゃった…
「かまへんけど…それやったら俺の家からの方が近いし、車を置いて行こうか。どうせ明日行く前に車を置きにくるつもりやったし…」
「じゃあ夏希くんち、入ってもいい…」
「散らかってるから恥ずかしいなぁ」
「片付けてあげようか?」
「いいよ…そんなの…」
そう言いながら、夏希くんは自分の家の方に、車を走らせて行った。
夏希くんのアパートは私のマンション程じゃないけど、思ったより広かった。それに…
「夏希くんの嘘つき…どこが散らかってるの…」
「一応、年末やったから大掃除はしたんよ…だから大晦日遅くなってん…」
「本もたくさんあるし…映画のDVDもいっぱい…あっ、これ見たいな…」
「今度一緒に見ようか…」
「うん…」