「店の名前なんていうの…?」
「『スカイスクレイパー』だよ」
「摩天楼って意味だよね」
「さすが真愛はよく知ってるね…」
「えへへ…」
すっかり癖になった、右手の人指し指で髪をかいていた。
雑居ビルの最上階にあるアーリーアメリカンスタイルのカクテルバー『スカイスクレイパー』に着いた。
前に来た時から半年たっていたけど、あの時は色々あってほとんど覚えてなかった。
ただ綺麗な薄紫色のカクテルだけ覚えていた。
私達が店に入ると、まだ時間が早いのか、三組のカップルと、二組のグループがいるだけだった。
「いらっしゃいませ大友さん」
「ご無沙汰しています」
「クリスマスにお待ちしておりましたが、来店なさらなかったので、こちらのチャーミングな彼女と、うまくいってるんだと思っておりました」
私達は店長の勧めで半年前に座ったカウンター席についた。
そこなら他の客と接触する事も少なく、店長とは話ができる席だった。