「ブルー・ムーンとスカイ・ダイビングです」
たった一度作ってもらっただけなのに、何も注文しないうちから、私達のカクテルを出してくれた。
「この前私に出してくれたカクテル…覚えてくれていたんだ…」 「それが店長の凄いところなんだよ」
私達は乾杯をした。
「ブルー・ムーンってレシピは何なのかな?」
「ジンをベースに、クレーム・ド・バイオレットとレモンジュースをシェークしたものです」
丁度店長が見繕った料理を持ってきていて、教えてくれた。
「レモンなんだ…美味しい…」
私は三口でブルー・ムーンを飲み干した。 「大友さんの彼女、カクテルの飲み方よくご存じですね」
「夏希くん、どういう事…?」
「ショートカクテルはね、三〜五口で飲むのがマナーなんだよ」 「そうなんだ…私、美味しいからつい…」 「ショートカクテルはゆっくり飲むと、ぬるくなって不味くなるんです」
「だから早く飲まないといけないんだ…」 「真愛はひょっとして…根っからの酒飲みかも…」
「夏希くんひど〜い…」
私は彼の腕をつねった。
「大友さんにお似合いの彼女ですね」
店長は微笑ながら、、次のカクテルの注文を聞いてきた。