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もう一度、最初からおかけ直して下さい─
オペレーターの音声がスピーカーから流れた。
今度はメールを送ってみるが、届かない。
「アイツ、ケータイ変えたのかな?」
「チョット待って」
今度は私が自分のケータイでかけてみた。
やはり…、通じない。
そこで私たちは由美の自宅アパートを訪れた。
『ブルーハウス』…洒落たデザインのアパートである。
何と既に、由美は引っ越しした後だった。
これには私はカンカンになった。
「黙って引っ越しするなんて! 一言私に報告しなよ!」
由美は私の世話でココに入居出来たのに…。
「引っ越し先に心当たりねえの?」
「ないよ」
「どこ行ったんだよ由美のヤツ!」
その時…、
♪〜♪〜♪〜♪!
私のケータイの着信音が鳴った。
「ハイ!」
「…」
返事がない。
「もしもし?」
「…私」
偶然にも電話は由美からである。
「由美! アンタ今、どこにいるのよ!?」
「どこって?」
「私に黙って引っ越ししているじゃない!
どうして、一言連絡しなかったの!?」
「ゴメン、連絡する間がなくて」
「ったくもォ! それよりも…アンタ今、どこにいるの?」
「…」
何も答えない由美。
「教えてよ! どこにいるの!?」
「…言えない」
今の返事に私は頭にピンと来るものを感じた。
「どうして言えない?」
「…」
「嘉村秋人と言う男と同棲してるから。…そうだよね?」
「雅美の想像に任せる」
「ふざけないでよ!」
「私! フレンドリーを脱会するから」
「ハァ!?」
すると、森山は私からケータイを取り上げた。
「由美、俺だ。お前いったい…」
プー…♪
電話は切れた。
唖然となる森山。
初めて無視されて、言葉が出ない。
つづく