「…あの…伯父さま、ロイは昔、何かあったんですか？」
ミリスは躊躇いながらも、思い切って、気になっている事を尋ねた。
「何か？」
その質問に、ライルの眉が少し動いた。
「はい。その…あいつらにやられる前に、ロイが陰のある表情で、『僕は運がいいから』って、言ったんです。それが、ちょっと気になって…」
「…」
ライルはそれを聞いて、一つ小さくため息をついた。「あ、言いにくい事なら別に構いません！ちょっと気になっただけですから、気になさらないで下さい」
ミリスはライルの様子を見て、自分自身の無神経な質問を後悔した。
「…ミリスちゃん。その事は私の口からは話せない。どうしても知りたいのであれば、ロイから直接聞きなさい」
ライルは優しく微笑んで、言った。
「ただ、ロイが亡くなっている可能性もある。その時は、お父さんから聞いてほしい」
「に、兄さん…、いいんですか？」
セイルは驚いて、ライルを見た。
「ああ。悲しい出来事だが、ミリスちゃんなら、知っておいてもらっても構わないよ」
そう言うと、ライルはミリスの方を向いて、
「ロイには、ある悲しい出来事があった。だが、それでもロイは昔のままのロイだよ。分かってくれるね？」
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