RA=MEN?
まんまじゃねえか―\r
情報員の男は一三雄大から受け取った俺のラーメンに魅入られた様子で、
『これが―世界を支配する力』
回りの仲間達にそれを掲げて見せた。
『わが大英帝国はこれで再び超大国として歴史に君臨する!』
情報員にしてはぺらぺらと良くしゃべるな―\r
そう言いたげな顔を察したのか、ヤツはソファーに拘束されたままの哀れな俺に近付き、
『今の話は口外無用に願いたい』
さげずむ様な笑みを浮かべながら、男は俺の頭に小型の22口径拳銃を冷たく当てて来た!
『だが君は誘惑には勝てないな―だから私が秘密を守る苦労を無くしてやろう』
くそっ
やっぱりこうなるのかよ―\r
『ちょ―ちょっと待って下さい』
だが、一三雄大がおずおずと制止にかかった。
『殺さないと約束したじゃないですか』
あからさまな不服の情を、情報員の男は浮かべた。
しかし彼はそれを言葉にはせず、即座に仲間に目配せをすると―\r
女情報員がテーブルに小さな皮袋をぼんと置いた。
『受け取れ―君への報酬だ』
一三雄大は恐る恐るそれを持ち上げ中身を調べて見た。
『こ、これは―これだけ―ですか?』
じゃらじゃらとテーブルに開けられた《報酬》とは―\r
誰かの肖像が描かれた古めかしいコインだった。
雄大の言う通り、大した数は無いみたいだ。
『君は《裏切者のユダ》だ』
皮肉気たっぷりに、男は解説を始めた。
『そんなヤツにはデナリウス銀貨30枚で十分だろう?』
仲間の情報員達はそれを聞いて笑いころげた。
『だ、だから言ったんだ!こんなヤツらを信用するなと』
ソファーをきしませながら、俺はわめいた。
一三雄大は、意気消沈してその巨体を床にへたりこませてしまった。
『だが』
今度は男は、22口径の照準をうなだれたヤツの頭に据えて言い放った。
『その銀貨はあの世で使ってもらおう―冥土の土産だ』
再び仲間どもの追従笑いが続き、男が引金に指をかけるのを最早止める事が出来ないかと思われた。
だが俺はふと気付いた。
ソファーのすぐ下に転がっている《ユカリちゃん》の巫女姿を!
先ほどからの騒ぎでテーブルにあったのがここまで飛ばされていたのだ。