「桑原さん。会計済ませといて。」
真は席から立ち上がると音のした方角を睨む。
恐らくサイレンサーとかを使ったのだろう。
パスッ!っというような乾いた音だった。
しかしその後同じような音はしていない。
だが日本でそうそう拳銃を使っての犯罪しかもサイレンサーを使ってはないだろう。
どんどん増えて来てはいるだろうが…。
桑原は会計を済ませると真の近くへ戻ってきた。
「どうしたの?」
その顔からはさっきまでのほろ酔いな表情は消えていた。
「銃声がした。パンドラの追っ手かも知れない。もしくは狼さんか…」
桑原の話しだと信頼足る人だから狼さんが追われてるのかも知れない。
「音の方に行ってみましょう。」
そういうと真と桑原は銃声の方へと走り出した。
正確な目的地はわからないが徐々に硝煙の臭いが濃くなって来ている。
「そこだな…」
そういうと真は上空からボードを呼び寄せそれを桑原の前に縦に浮かせる。
「防弾にね。ちょっと見てくるから。」
「気をつけてね。」
そういうと真は建物の陰から飛び出した。
「なっ…?」
真の目に写ったものは地面に倒れた黒服の男数名と人ならざる者二体だった。
「ん?遅かったな。NO.315」
そのうち一体が真に話しかけてくる。
その容姿は人とは掛け離れ顔の部分には狼のようなデザインの兜のような…それでいて生物のような外装を付けていた。
「オッ…オ前ガ…、オ前ノセイデ…」
ちょうど背を向けていたもう一体がこちらを振り向く。
その容姿はとても醜悪で口は前に飛び出し前歯が延びておりその尻尾をみるとあたかも齧歯類かのような姿だった。
「なんなんだ!?お前俺を知ってるのか!?」
「なんだ…?NO315!お前獣人と戦ったことないのか?」
「お前も誰だ!?」
そういいながら真は臨戦体制をとる。
その右腕にはほとばしる雷が纏わり付いている。
「ほう…それが天人(アマツビト)の能力か…早いとこメタモルフオーゼしなや」
「うっ…うるさい!誰なんだよ!」
「ジャアァ!」
不意にもう一体の怪物が真に襲い掛かる。
「うわった!?」
すかさず右腕の雷を広げ電磁膜を正面に展開するが常人離れしたスピードで正面から側面へ跳び鋭い爪で真の背中を切り裂いた。
「うっ!くっ…クソッ」