― ここはどこだろう。
金やら銀やら、何やらきらきらしい裟の様なモノが、いくつも舞っている。
鼻に香の匂いがつく
「…夢、だよな?」
辺りを見回して、依代はぽつりと呟いた。
―…来い
ふいに、声が聞こえた。よく注意して聞かないと聞き落としてしまいそうなほど微かな声だった。
辺りを見回すが、誰もいない。
「だ、誰だ?」
―…来い。我の元へ…
―…我を解き放て…
―…時の流れから…
―…我を、解き放て…
「だ、誰なんだよお前?姿を現せ?」
依代は怖くなって叫ぶ。 急に香の匂いが強くなり、視界に大きく揺れる白い布が入った。
『…ずっと、君を待っていたよ…』