私は詳しい事情を聞こうと学校で由美を探したけれど、見つからない。何日も待っても姿を見せなかった。
学校が長い夏休みに入って、私は佳奈さんに電話で尋ねてみた。
佳奈さんが別の友人から聞いた話しでは…、
由美はココしばらく学校には来ていなかったと言う。
休学の直接の理由は分からないけど…、妊娠していると言う話しもチラホラ聞かれるらしい。
私は森山を再度、事務所に呼んで佳奈さんからの情報を教えた。
予想以上のとんでもない事態に、森山はこらえきれない憤りを感じた。
そんな森山に私は気になる質問をしてみた。
「良子の事、今はどう…思ってる?」
「どう思ってるかって?」
「由美は、浮気してる。しかも同棲していて、妊婦の可能性が大。
なあーんかサァ、由美は純情だと思っていたけどォ…良子の方がまだ、マシな方だと思うのよね。
森山もそう思わない?」
「そうだな、悪くないんじゃねえの?
自分自身を見つめ直すって言うし、凄く魅力的になった気がする」
「…」
隣りの部屋から盗み聞きしている良子が思わず顔を赤らめた。
私は質問を続けた。
「じゃあ…良子の事、好き?」
「え!?」
戸惑う拓也。
良子も!
「良子の事、好きかって聞いてるの」
苦笑する拓也。
「俺を、からかっているのかよ?」
私はムッとなった。
「私はマジだよ。
ちゃんと答えて」
「キライじゃねえけど」
正直な答えに、私はニッコリと微笑んだ。
「だったら森山、良子を恋人にしようよ」
「何でアイツと…」
私は拓也をジッと見つめた。
「良子はね、今でも…森山に対する気持ちは変わらないんだって」
「誰が、そんな事を?」
「美月さんが」
「あの人が…」
「もう思い切ってサァ、良子を恋人にすれば?」
「アイツと別れろってか?」
「私が森山なら、そうするけどね。あんな浮気女とは、サッサと見切りつけちゃう」
「冗談じゃないぜ」
「出来ないの?」
「出来ねえよ」
「どうして?」
「俺は、由美を愛しているからサ。」
「他の男に取られているのに?」
「同棲も妊娠も、まだ…本当がどうか分かんねえだろう?」
「呆れた! 信用していないんだ?」
「俺は、どんな事があっても由美を信じる。
アイツは絶対、俺を裏切らない」
つづく