と、真剣な表情で、言った。
「はい。それは分かっています。ロイの優しい性格は、昔と全然変わっていませんでしから」
ミリスは大きく頷いて、微笑んだ。
「ミリス、エミリア、ちょっと手伝いに来て」
「あ、はい」
「はーい」
サリアの呼び出しに、ミリスとエミリアは立ち上がって、台所へと向かった。
「…さて、セイル、お前達は今後どうするつもりだ？」
ライルの質問に、セイルは難しい顔をした。
「あの状況だと、もうベイスの家には戻れないと思う。だから、新たに家を建てるか、借りるかして、一から商売をやり直すしか無いと考えている」
「そうか。だが、建てるのも借りるのもそう簡単な事ではあるまい」
「まあね。でも、いつまでもこの家にお世話になる訳にいかないよ。…ただ、一通りの目処が立つまでは、兄さんに迷惑を掛けてしまうけど…」
セイルはすまなそうに、ライルを見た。
「そこは心配いらない。もう二人の息子はそれぞれ独立していて、今は私一人だからね。家事が出来ない分、私としては大助かりだよ」
ライルは悪戯っぽく笑うと、すぐに真面目な顔になって、
「セイル。私に何かあったら、この家はお前に継いでほしい」
と、小声で、言った。
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