この世界カナンはヤハウェと呼ばれる神によってわずか6日で創造された。
1日目に光をあたえた。
2日目に空をつくった。
3日目に海と大地をつくりその大地に植物を生い茂らせた。
4日目に太陽と月と星をつくった。
5日目に魚と鳥をつくった。
6日目に獣と自分に似せた人間をつくった。
そして神は疲れて世界樹の下で休んだ。
世界樹の上からぐっすり眠る神を見て戦争の神オーディンはクスクスと笑ってこう言った。
「ヤハウェは気づいていないのか?2日目に私がもう一つの人間をつくったことを」
ヤハウェは6日目に大地の土をこねて自分に似せた人間をつくった。
だがヤハウェが2日目に空をつくったときオーディンは風をこねてすでに自分に似せた人間をつくっていた。
オーディンは知っていた。2つの人間をつくればいつか必ずその2つが対立するときが来ることを。
だがオーディンは戦争の神、争いを必要とした。
そしてオーディンはあろうことか人間に『感情』と『知識』を与えた。
争いの源となる『感情』、争いを激しく燃え上がらせる『知識』
ヤハウェに仕える天使ルシフェルはオーディンの所業を知っていた。
だがそのことをヤハウェには報告しなかった。
ルシフェルもまた、人間同士の争いを望んでいたのだ。
というのはキャプテンから聞いた話、酒の入ったときの話はほとんど聞き流す。
だがこの話はキャプテンがドラゴンを1人で倒したという大ボラのせいで鮮明に覚えていた。
でもマミーから聞いた話ではそれは本当の話らしい。と言っても倒したのは弱りきった小さなドラゴンだったらしくキャプテン曰わく「仕留めるのは酔った女を抱くくらい簡単だった」と、分かりにくい例えをしたのをよく覚えている。