きょとん、としたフィディルにオーリュはまた口を開く。
「だから、アンナの記憶を『変換』・・・だっけ?してくれて。」
「あ・・・・あぁ、うん」
ふいをつかれたような顔をしたフィディルを見て、オーリュは、ふっ、と笑った。「・・・・・何?」
怪訝な顔をしたフィディルに、さらにオーリュの笑みが深まる。
「・・・僕の顔に、何かついてる?」
「・・・いゃ?・・・お前、作り笑いよりそっちの表情の方がいぃな、と思って。」
「!!」
目を見開いたフィディルをそのままに、オーリュは笑ったまま今度こそ部屋を出て行く。
(・・・・ふぅん)
自分の作り笑いを見破るなんて・・・。
フィディルは感心と同時に、彼の過去が気になりだした。
きっと彼も、作り笑いで他人に接していた時期があったのだろう。
そんな奴にしか、これを見破ることなんてできない。 ・・・くす、と「本当の」笑みをうかべて、フィディルはオーリュを追って部屋を出た。
予想以上に、楽しくなりそうな予感がする。
・・・ねぇ、『君』も、そう思わない?