未伊子さんが例のカツミ〔勝見〕からのメールの存在に気づいたのはお昼過ぎ。
会社内での昼食、弁当を食している頃であった。
女子が少ないので固まって、食しているが年齢がバラバラすぎて余り会話が進まない。
みんな思い思いのコトを食事後にやっているが、主に正面のテレビを眺めているのだ。
未伊子さんは何の気なしに携帯を眺めていた。その日はお弁当のカバンに入れたままにしていたのだ。
カツミからはアレからまた3通のメールが届いていた。
ーカツミですー
今日、会えますか?会って話しだけでも聞いてくれませんか?
ーカツミですー
今日は都合悪いですか?無理なら無理と返事欲しいです!
返事?返事なんかしないよ!未伊子さんはメールを眺めて思った。
明らかに怪しいからね!
何故、相手がアドレスを知っているのかを考えると怪しくて…。
でも誰かと勘違いしてナィですか?とも問いかけてしまいたくなる。未伊子さんは悩み始めた。
ーカツミですー
今日16時半、OK?
ナンだ?キミとは友達でもなんでもナィぞ〜だからホストなんて、軽すぎなをです。なんて未伊子さんは悩むコトを止めた。
やっぱり無視するがヨシ!
昼休みが終わり、未伊子さんはペンキ塗りを楽しんでいた。
ペンキには一つ一つナンバーがありまして、指定された色を塗るのだが先輩方は数字を見ただけで、どんな色でドコの棚にあるかを知っている。
さらに、どのシンナーで薄めていいのかも理解しているのだ。
シンナーには4種類あって…(いやまだ未伊子さんが知らないコトがありすぎるので決めつけてはいけないだろう)それらの中でペンキに適したシンナーを素早く準備して仕事を行う。
未伊子さんには、その準備さえ違いが分からず、何でなのか?の質問を繰り返しいて。それもなんだか楽しいのだ。
ペンキ一つ一つにも相性がありまして、合わないモノ同士では固まったり分離したりと、なんだか人間関係と同じような世界が在るからだ。
ーカツミですー
今、目黒駅につきました!ドコにいますか?
未伊子さんはズボンの後ろのポケットがバイブするのを感じた。
携帯?今、仕事中で出れません。
にしても、勘違いしてませんか?カツミ!
《ー続くー》