Mind Adventure 30

籬 規那  2008-07-14投稿
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周囲に何事かを訴えるかのような、明らかに異端である、黒い法衣。

何故黒い法衣でなければいけないのか、何故わかった。




影のなかで奇しくぬらりと光った赤黒い物体。

それは、他の何物でもない、魔物の角だった。




自らを律し、他人を寄せ付けない為に。


私でも、そういう選択をとったかもしれない。







「ここにいても、被験体として体を弄られるだけなのでな。ついでに逃がしてやる。」


ディルは不満気だが、今の出口が何処かもわからない状態から脱するには、もはやこれしか無いだろう。

「よろしくお願いします…」


ディルは妖需の言葉に何か反論しようとしたようだったが、妖需の顔を見て、舌打ちをした。





「フィレーネの居場所をご存知ですか?」

彼は黙って首を振る。

しかし、時間をかけて計画していたとしか思えないほど、妖需達は道をスムーズに進む事ができた。


「……何か仕掛けでもあるんですか?」


流石に不思議に思ったのか、頑なに彼を怪しんでいるディルの代弁なのかはわからないが、妖需は尋ねた。


「見張りに会わない事か?」



こくり、と妖需が頷く。

彼は、横目で様子を窺い見る、ディルを一瞥してから、ポケットから小さな箱を出した。




無造作にそれを手渡された妖需が、側面を見、裏側を見て顔色を変えた。


「………封魔香…!?じゃあ、見張りは魔物……?」

「半分正解。ただし、封じるられ、嫌悪をもよおすのはヒトの血だ。」






と、言う事は、だ。
俺達は、ヒトでないと。


「俺等に何を飲ませた」


嫌な予感というのは、当たらない割に何故か心を乱す物だ。



「一時的に、魔物の特性が強くなる薬だ。生物で確証済みだから問題ない」

うっっさんくっさ。

妖需が肩を竦めたのが、後ろからでもはっきりとわかった。



「あれ………」

何か音がしない、と妖需が小首を傾げる。



とか言ってる間に、何かが派手な音を立てながら高速で近づいて来る。


「来るぞ」

一行の緊張が、一気に高まった。



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