もう何人目の人かも忘れてしまいそうな単調なリズムが部屋も人も包み込んでいた。
いつまで続くのかもう1人目以上の人は出てこない。面接官3人の気持ちは残された面接よりも自分の机に残されている仕事に移っていた。
慎治の目の前にいる人丁寧に質問に答えながらも心の中では次の面接のことを考えているんじゃないかと意地悪な気持ちが浮かぶ。
『どうせお前等は楽な仕事求めて来てるんだろうけど、残念です。不採用です。』
今ここで言えたらすぐにここから出られる。慎治はもうすぐにでも出ていきたかった。この寒々しい部屋から。
『じゃあ次の人呼んできて』
呼ぶのはこの中で一番年下の役目と割り切ってドアの前に立つ。このまま次の人を置き去りに出ていってしまえば終わる。心の中とはうらはらにドアを開け呼び掛ける。
『次の方…』
それがあの娘を初めて見た時だった。もう1年以上前の…思い出して笑い泣き悲しみ怒り…思い出の。