「そうだけど…」
エドは、何故AISの事を知っているのかを疑問に思いながらも簡潔に答えた
『私達は、M.Tをたった今拉致した者だ』
男は、単刀直入にサラッととんでもない事を言ってきた。しかも、小さかったがM.Tの悲鳴がハッキリと聞えた。エドの手が微かに震える
(何故M.Tが拉致されたんだ?今さっき?どうやって?)
エドの頭に様々な疑問がよぎる。多分今声を出したら震えてまともに喋れないだろう。生唾を飲み込み落ち着こうとし、ついでに会話を録音しておく
数秒、間を置いたエドは……
「えっ?今コンビニにいるの?じゃあ僕らはどうしたらいい?迎えに行こうか?」
突然、いつも通りの口調で話始めた
『ふっ、君は頭の回転が早いようだね。周囲に彼女の親でもいるんだろう?気付かれない様に対応するとは………しかも、こちらへの質問も含まれていた』
男はベラベラと余裕な感じで喋った。エドは途中途中相槌を入れて対応する
『よし、君も参加して貰おう。だが、そこでこれ以上の会話は君らに都合が悪いだろう。そうだなぁ………君の運転技術には一目置く所があるので、20分で図書館に向かって貰おうか?もちろんそこで具合が悪そうなダルアン君にも来て貰う。当然だが、警察に通報はするな!。では20分後にまた連絡する』
男は後半テキパキと要件を言って電話を切ろうとした瞬間
「分かった。じゃあ20分後に図書館の正午の鐘を聞かせてあげるよ」
訳の分らない事を言って電話を切るエド。その後、平静を装ってM.Tの母親とさよならを言うと、ダルを車に無理矢理押し込み車のエンジンを入れる
「ちょいエド?俺が運転すると…………」
ダルは、エドに抗議しようとするが、エドはキッパリ無視して車を爆走させた。また重力がダルを襲う
「ぎゃぁぁぁぁぁ」
ダルの悲鳴が閑静な住宅街に響いた
悲鳴をあげるダルをよそにエドは、先程録音した会話を最大音量にしてダルに聞かせた
その会話をダルは、悲鳴を絶えながら聞いた。珍しくエドが怒っているからだ。
そして再生が終了すると
「そっそんな…………M.Tが………拉致された!?」