「なるほど…犯罪者という訳か…」
リグラは腕組みをして、思わず唸った。
「しかし、自分はまだその三人の言う事が信用できません」
ラトは難しい顔で、首を横に振った。
「それは何故かね?」
「私はロザラムから、そのような家族の生存者がいる、などという話を聞いていないからです」
「聞いていないのかね!?まさか、未だに一人の生存者も見つかっていないというのではあるまいな?」
「は…それが、彼の話では、生存者の捜索はまだ行なっていないとの事でしたが…」
「馬鹿なっ!」
リグラは怒りの表情を露にして、声を上げた。
「事件が起こってから丸一日立って、生存者の捜索をまだ行なっていない、じゃと?地域の警察組織を管轄するという、砦部隊の任務を何と心得ておるというのじゃ!」
「り、リグラ殿…」
ラトはリグラの怒りの表情を見て、さっと、青ざめた。
「…などと言うと思ったかの、ラト殿。恐らくロザラムは既に捜索活動をやっておる。しかも、自分一人でな」
「え…?」
「筋書きはこうじゃよ。恐らく奴は、砦の守備隊長に、まずは自分一人で状況を見に行くと言って、ベイスへ向かった。そして、手早く幼なじみとその家族を救出し、秘密裏に砦へ運んだ…」