それは、同じ部活の同級生正木の一言からはじまった。
「お前のファンがうちのクラスにいるから、一度遊びに来いよ」
最初は、意味がわからなかった。だって、うちの学校は女子校だから。
たしかに私は運動部に所属していて、そこらへんの男子より男らしいかもしれない。
私に声をかけてきた正木には彼女がいると噂がある。
…ということは、やっぱりそういうことか…。
私は今まで男子とお付き合いをしたことがない。
中学から女子校に通い、出会いもなかったし。
唯一中学三年の時に、男子校の文化祭に行き知り合った人がいたけれど、なにもないまま怖くて会わなくなった。
私にファンがいる。
部活もなんだかうまくいかなくて、先輩も顧問も怖くていつもビクビクしていた。そんな姿を見られていたのか…。正直、びみょ〜な気持ちだ。
正木の教室は私の教室から少し離れているため、なかなか行く時間がなく数日が過ぎた。
正木の言葉も忘れかけていたある日、全校集会で列んでいると、少し離れた列から大きな話声が聞こえてきた。
後ろにいた真理が、その声に気付き、振り返っている。
[264] 
[0] 
[0]
