かくれんぼ

紫音  2006-05-26投稿
閲覧数[1539] 良い投票[0] 悪い投票[0]

「もういいかーい?」
「まーだだよー。」
「もういいかーい?」
「まーだだよー。」

学校からの帰りの電車の中で、中学の友達と会った。
もう卒業して3年がたとうとしていたときだった。
すごく久しぶりでみんなで中学に遊びに行くことになった。
中学の先生たちと話をしたり後輩たちが部活にいそしむのを眺めたり
それぞれがそれぞれの思い出に浸っていた。
「そういえばさぁ、香坂がよく授業抜け出してここに隠れてたよね。」
「そうそう。怒られても怒られても抜け出してさ。」
「でもほかにもいっぱい隠れるとこあるっていったよね。」
そんな話からみんなで隠れ場所探しのついでにかくれんぼをすることになった。
かくれんぼなんて小学生以来やってないし、
懐かしい場所の秘密を探る気分でちょっとわくわくしてた。

「もういいかーい?」
「まーだだよー。」
「もういいかーい?」
「もういいよー。」

私が隠れているのは美術室の先生の机の下の戸棚。
割と小さく見えるが中は結構広い。
こつ、こつ、こつ。
オニの靴音がする。
それに合わせて私の心臓もだんだんと高鳴り始めた。
くる、くる、くる。

ばん!

「!!!」

あれから5年。
私はいまだに戸棚に隠れている。
誰かが私を見付けてくれることを祈りながら。

i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 紫音 」さんの小説

もっと見る

ホラーの新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ