「彼女の振袖姿は、大人っぽくて綺麗だよな」
「高校の時から知ってるけど、真愛ちゃんがこんなに綺麗になるとは思わんかったよ、なぁ夏希…」
「涼平はこの前からこればっかしや…」
「相変わらずやなぁ、涼平らしいわ…」
「うるせぇ」
夏希くん達は楽しそうに笑っていた。
「真愛ちゃんって、振袖いったい何枚持ってるの?」
涼平さんが突然聞いてきた。
「えっ…全部で五枚だけど…どうして…?」
「毎回違うの着てるし、俺だけで三枚見てるやろ…」
「どんなの持ってるの?」
悟志さんも気になったのかな…
「黄色地、緑地、紫地、白地、深紅地の五種類で柄は全部、大好きな桜柄…」
「へぇ…夏希は全部の振袖姿見たんか?」 「いや、深紅地だけ見てへん…でも何でそんなに持ってるんや?」
夏希くんも不思議そうに聞いた。
「お祖母ちゃんの形見を仕立直したの…でもそろそろ留袖も仕立直さないと…」
「真愛って、着物の仕立直しもできるんや?」
夏希くんが驚いて言った。
「うん…」
「あんたいったい何者…」
香緒里のその言葉は、みんなの気持ちを代弁していた。