魔術は、術者がその種の精霊に呼びかける事で発動する。
そして、竜は精霊達にとって絶対の存在。
だが、その中でも最強である[光の金竜]、フィディルの言うことを風の精霊は拒絶した。
そんなことはあり得ない。(・・・・・!)
まさか・・・、
フィディルは、はっ、として目を見開いた。
一方のオーリュはまだ落下中であった。
改めてこの塔がどんなに高いのかが分かる。
(もぅ、ダメだ・・・)
しかし今はそれどころではない。 地面が目の前にきていた。「っ!!!」
オーリュは見開いていた目をぎゅっ、と閉じる。
・・・ゴメン。
心の中で、呟く。
すると、答えるように、声がした。
《・・・・オーリュ、待っててくれ。必ず、・・・必ず戻ってくるから・・・・》
「・・・・え?」
頭の中に、いつしか聞いた約束の言葉が流れこむ。
フィディルの声ではない。これは・・・・・・
地面に墜落する瞬間に、オーリュの身体が ふゎり、と浮いた。