カカシとカラス1

ルクルト  2008-07-19投稿
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1:見渡す限り一面に頭をたれた稲穂の海。
冷夏の影響も少なくなかなかの豊作だ。
あちらこちらでスズメが稲穂をつつく姿が見られる。
実に微笑ましい。
「というわけにもいかないんだよな」
カカシとして生を受けた我が身としてはゆゆしき事態なのだ。
「お前らいい加減にしないと太りすぎて飛べなくなるぞー」
声をかけるもスズメたちは一向に食べるのをやめない。
「なめられてるね〜」
左肩からおもしろくて仕方ないという声が聞こえる。
「そりゃ肩にカラスのせたカカシなんて怖くも何ともないだろ。てか降りろ」
「降りたいのはやまやまなんだけど、あまりにつかみ心地がよくて足が離れないんだよね〜」
まったく悪びれもせずそう言うカラスにオレは大きくため息をつく。
「ため息ついてばかりだと幸せ逃げちゃうよ」
お前のせいだ、とは口にださない。
今日もコイツと1日中一緒かと思うとめまいがするが、悲しいかなカカシには逃げるための足がないのだ。
あぁ太陽よ早く沈んでおくれ。

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