「チビろぉ〜が寝たけん母ちゃん、コインランドリーにおるよ、ごめんね」
「濡れたけん着替えたか〜グスン」
電話の向こうのチビろぉ〜は、寂しくて泣いているようだ。
「わかった。すぐソコに行くけん、待ってて」
電話を切ると未伊子さんは駆け出した、が足を止めて加藤 創の方を向いて言った。
「チビが泣きよるけん、帰る。下着には手を出すなよ!」
「あほか!俺はそんなガキじゃなか。それに欲しかとは未伊子さんのモノじゃなか、中身たい」
この男は、何を考えているんだか?理解に苦しむがそうノンビリもしていられない。
濡れた布団もついでに洗濯に持ってこなきゃ、また忙しいぞ。と思いながら未伊子さんは走っていった。
創は何を言っても真剣に取り合ってもらえない、虚しさを感じていた。自分自身でも、なぜあんなおばさんが気になるか?と思う。
未伊子さんにはダンナがおる。ステキとは言い難いが…。
世の中の理屈とか分かりきっていた。
だか気になるのは仕方ない、俺ならあんな苦労はさせてて、たまるか〜!
可哀想だろが、隆也さん。あ〜イライラする。
遠い空の下、ネオン街にもイライラしている男がいた。
カツミだ。駅での(強引な)待ち合わせにも失敗した。なぜ相手にされないのかが分からない。
曲がりなりにもホストとして生計を立てている、この俺が誘っているのに…。
「今日は調子悪いっすね」同僚のユウトが声をかける。
「なんだか朝からムカムカしててさー」と体の具合の悪いコトをアピールするかのように腹を触った。
「明日、休みたいな〜しばらくノンビリどっか行きたい…」「ずっーと働いてますからね!ぱっと行きたいっすね」
《ー続くー》