私が手を伸ばすと 店主はスッとそれを引っ込め 小さく首を横に振った。
「いいかい 人生は一つしか選べないんだ」
言いながら今度は私が持っていた本を自分の方へよこすよう促し 2つの本を綺麗に横に並べ話し始めた。
「人は誰でも1つ『人生の書』を持っている。まぁ それを目にする事はまずないしお前さん同様 その存在すら知らずにいるのが普通なんだが 稀にこんな事が起きる。
『人生の書』が2つに分かれてしまう。さて どうする?」
店主は本をトントンと指で叩きながらフッと顔を上げ私に尋ねた。
私は反射的に視線をそらしうつむいたまま首を傾げた。
「私の仕事は この2つに分かれた『人生の書』を1つに戻す事。それにはどうしても君の承諾が必要なんでね…こうして来てもらったわけだ」