リグラはにやりと笑って、「わしは最初からそれが疑問じゃった。光から仕掛けてくるなら、西にあるリーダか、あるいはムルスの方が色々と都合がよいからのう」
と、白髪混じりの髪の毛をいじりながら、言った。
「…ちょっと待って下さい。まさか、闇が…？」
「…さあてのう…、ただ、その可能性もゼロでは無い、といった所じゃ」
リグラはそう言いながら、ちらりとアリネスの方を見た。
アリネスはその視線に気付いて、
「何か言いたい事があるのですか？リグラ」
と、尋ねた。
「いえ…何でもありません。ではラト殿、ロザラムの事、よろしくお願いします。それでは今日の会議はこれで終了とさせて頂きます」
リグラは立って深々と頭を下げると、アリネスも立ち上がって、
「皆さん、今日はご苦労様でした。明日も大変な一日になると思いますが、精一杯、民の為、また、国の為に働いて下さい。よろしくお願いします」
と、言いながら、深々と頭を下げた。
「アリネス様…勿体無いお言葉、ありがとうございます」
会議室に座っていた人々は、アリネスの謙虚な態度に恐縮して、次々と席を立ち、深々と頭を下げた。
リグラはそれを見て小さく頷き、心の中でアリネスの成長を喜んだ。
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