良子…ファイナル?

ぐうりんぼ  2008-07-21投稿
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拓也が口火を切った。

「テメェが、由美を誘惑した嘉村秋人か?」

「だからァ、変な言い掛かり付けんじゃねえって言ってんだろうが!」

激しい口調のアキト。

拓也は動じない。

「何を言ってんだ!?
由美に手を出した事には変わりはねえだろう!」

「オメェに言っておくけどよ、由美と一緒に寝た事はな…同意の上なんだよ」

「どうせ、強制的だろ」

「だったら、由美に聞いてみろよ!」

拓也は由美に尋ねた。

由美は視線を合わせず、腕を組んだまま不機嫌な態度を取っている。

「違うよな由美。
お前、アキトにそそのかされたんだろう?」

「…」

由美は何も答えず、ツンとした態度である。

「何とか言ってくれ」

「…」

「由美!」

アキトが話しかける。

「遠慮するな由美!
ずっと前からキライだった…って言えばイイんだからよ!」

アキトの言葉に拓也は不安を感じた。

「本当なのか由美?」

「…」

「黙っていちゃあ、分かんねえだろう!?」

「…そうだよ」

ココで由美は、初めて自分の本当の思いを打ち明けた。

それは、拓也にとっては聞きたくはなかった事実である。

ずっと由美を信じ続けていた拓也は、動揺を隠し切れない。

由美は話しを続けた。

「私と良子が言い争ったのを止めた時、良子から迫られたよね?
どっちを取るかって。
拓也は両方とも切った時には…私は内心、ホッとしていたんだよねェ。
─グッドタイミングだよ。私から、別れ話しを持ち掛ける手間が省けた─
ってね。なのに、後から私に電話を掛けて来た。
─仲直りする─って聞いた時は…ウンザリしたんだよね」

「あの時はお前、喜んでたじゃねえか?」

「芝居してたの」

「俺を騙してたのか!」

「そうだよ! 私ィ、アンタの事は前からキライだったから!」

「由美…」

拓也は苦笑いして

「ウソだよな。俺はお前を信じてるよ」

ため息付く由美。

「拓也ァ、もう…イイ加減してくんない? 
ウザいんだよテメェ!」

アキトが笑い出した。
「森山ァ、オメェって鈍いヤツなんだなァ!
由美は前からオメェの事を嫌ってんのによォ、全然気付かねえの?」

「テメェは黙ってろ、ボケ!」


つづく

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