この子は、夢を見た。
そして戻ってこなかった……。
夢支配人のせいで……。
正夢〜?〜
「変な夢……」
呟いたのは橋村弓。中学二年生のバレー部。
今日、彼女は変な夢を見た。
『ねぇねぇ、死んで?』
不思議な声に弓は必死にこたえる。
「なんで……? 私に死ぬ理由は無い!」
『自分から死のうとしないなら殺してあげる』
「殺すなんてふざけた事を言わないで! 変よ」
『だったらメニューは”正夢”ね……』
「待って! 理由を教えて!」
『ふふふ……。それはね」
そこで夢は途切れる。
弓は、朝から変な気分で学校へ向かった。
「意味わかんない」
朝から考えても判らない問題にぶつかっている。
こんな夢をハッキリ覚えているのも初めてだ。
『ねぇねぇ、死んで?』
『メニューは”正夢”ね……』
あの子が言っている事自体判らない。
「ゆーみ! 何考えてんの!?」
声がして抱きついてきた少女。
少女は三村のり。弓の大親友だ。
「変な夢見ちゃって」
「マジ〜? 変な夢ってどんな夢!!?」
のりはメルヘンチックな少女。
弓の話に興味を持っている。
「なんか女の子が『ねぇねぇ、死んで?』とか『メニューは正夢』とか……」
「不気味〜!!! でもさ、気にしないほうが良いよ!」
のりの言葉に安心した弓は笑顔で言った。
「そうだよね! 夢、夢だよ〜〜!!!」
その話の後、弓はその夢を忘れてしまった。
『馬鹿ね……。明日から恐怖を味わってもらうわ』
その様子を夢の中で『今日のメニューは正夢』など言った少女が見ていた。
続く