冷えたビールが僕の前にだされた。いっきに飲み干し、時計を見た。奴はまだこない。わかってる。
2杯目のビールが僕の前にやってきた。半分だけ飲んでから枝豆をつまんだ。
「奴はこないのかい」バーテンがたずねた。
「いや、くるさ」僕はそうこたえた。でも、そうは思えなかった。奴はいつもは時間通りに来る。残りのビールを飲み干し、3杯目のビールを注目した。それが僕の前にくると僕は1口も飲まずに席を立った。
「ちょっと」バーテンが言った。「このビールはどうするんだい」
「奴が来たらあげてくれ」僕は金を払った。「おやすみ」
今でも時々そのバーに行くが、ビールはまだあの席に置いてある。奴からたまな手紙がくる。どこにいるのかさっぱりわからないが、元気にやっているようだ。